ある青年部会から記念講演の依頼がありました。
私は、与えられたタイトルに違和感を持ちました。
「未曾有の大不況の今を若手経営者・
後継者がいかに乗り切るか(仮題)」
実は、10年ほど前、私の所属する日本ホテル研究会で、
青年部会発足式の記念講演を日下公人氏にお願いしたのですが、その時のタイトルがよく似たタイトルでした。
「ホテル業界 ~経済不況を乗り切る~」
日下氏は、講演の冒頭で、いきなりこう言われました。
「なぜ、こんなタイトルにしたの? 若いあなたたちが、 どうしてこんなじじくさいタイトルをつけるのかね。
経済不況だとか、マスコミが言っていることをそのまま真に受けて。このようなタイトルをつけた時点で、発想が貧困になってしまうよ。」
当時はピンとこない点もありましたが、経営の本質が
見えてきてからは、その言葉が深く理解されるのです。
まず、今回のタイトルの「未曾有の大不況」という言葉ですが、そもそも、今、業績が落ち込んでいる根本的な原因は、不況というよりも、むしろ経営戦略そのものの間違いであることが多いのです。
この言葉を使うと、「大不況だから、業績が悪くても仕方が無い」と、経営者・後継者の言い訳や逃げ道になり、前向きな発想が出にくくなってしまいます。
また、「いかに乗り切るか」という言葉ですが、
「乗り切ったらそれでよいのか?」とも思います。
なんとか乗り切っても、それで会社の将来が約束されるわけではありません。やはり、この時期だからこそ、将来のために、経営のすべてを見直すことが重要だと思うのです。
これらの点に触れるためにも、私は講演当日、思い切ってタイトルを変更しました。
「未来を築くために、若手経営者・
後継者は今、何をすべきか?」
参加者には、なぜタイトルを変更したのかを十分説明した上で、以下の趣旨で講演を行いました。
「後継者は、まず事業承継の本質を掴み、後継者としての戦略をしっかりとおさえた上で、価値を生み出すために、経営革新と自己革新を行うべし」
さて、どちらのタイトルの方が、元気が出るでしょうか?
そして、前向きな発想が湧くでしょうか?
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