最近、私が講師を務めた後継者セミナーで頂戴した
受講者アンケートのコメントです。
「何年か前にホテルが倒産してからまだ何年も
経っていないのに、どのような勉強をされて
このセミナーをしていただける位までなられたのか、
どうしても時間が合わない様に思います。
さぞかし不眠不休で勉強されたのではないでしょうか?」
「倒産してから何年かで猛勉強されたのですか?」
受講者の方は、セミナーでお話しさせていただいた
後継者時代の私と、現在の私のイメージに、
大きなギャップをお感じになったのでしょう。
私はかつてホテルの後継者で、親父の跡を継ごうと
悪戦苦闘しましたが結局、平成15年に力及ばずに清算。
かつての自分自身を振り返ると、経営に関する知識も
乏しく、何もわかっていなかったと思います。
その後2年間、残務整理以外は、引きこもりのような
生活を続けていました。
後継者支援活動を本格的にはじめてから、まだ4年ですが
今は、受講者の方がおっしゃるように、かつての自分とは
知識の量も考え方も、大きく異なっていると思います。
事業承継や、経営(企業理念、財務、人事、事業、統治基盤等)、コンピテンシー、カウンセリング等に関して、
自分の持論を展開できる程度に習得できており、
皆様の心に響くお話をすることが少しはできるように
なってきたように感じています。
(もちろん、まだまだ至らぬ点は多いのですが)
私自身、このアンケートを読んで、なぜ、自分は短期間で
習得できたのかということを、改めて考えてみました。
不眠不休で猛勉強したからなのか?
いいえ。全くそんなことはありません。
平成17年に中小企業診断士の資格をとるために
毎日猛勉強をした半年間を除いて、
それほど常に勉強しているわけではありません。
実際、私はこの数年、平均8時間の睡眠をとっています。
それではなぜなのかと考えると、やはりそれは、
「人に伝えていることを前提に学習している」
からだと思います。
人に伝えて、理解・納得していただくためには、
よほど、自分自身が理解・納得している必要があります。
本を読んだりセミナーを受講して自分が学習する際にも
人に伝えることが前提であると、以下のような観点から
学習することになります。
・このテーマで最も重要なことは何か?
・このテーマの本質は何か?
・自分は本当に理解しているか?
・理解、納得してもらうためには、どう伝えればよいか?
・自分が伝えることは、本当に役に立つことなのか?
自分だけが理解すればよい学習と、人に伝えるための
学習とは、根本的にそのスタンスが異なってくるのです。
そして、実際に人に伝えると、そのたびにいろいろな
学びがあります。
受講者に伝えているうちに、自分の考えが深まります。
また、人に伝えてはじめて、自分の理解の弱いところ、
本質からはずれているところに気付きます。
そして、また知識を補充したり、そのテーマについて
考え直し、また、別の機会に人に伝えるわけです。
そのような繰り返しがあるおかげで、自分自身の
学びのサイクルが、かつての自分とくらべて、
数倍になっているように感じます。
後継者時代、私は本当にたくさんの本を読みましたし、
いろいろなセミナーを受講していました。
しかし、今から振り返ってみると、実際には、そんなに
身についていなかったと思います。やはり、単に自分が
理解するためだけの学習だったからでしょう。
学習は、人に伝えてはじめて、本当に身につくと
考えています。
そういう訳で、私が講師を務める経営革新塾、
事業承継塾では、受講者のみなさんに、
各テーマの内容を、他の受講者のみなさんに
レクチャーしていただくことがあります。
そうすることで自分が本当に内容を理解しているか、
自分で確認することができます。
また、自分が理解できていない部分も明らかにすることが
できるのです。
みなさんも、真に学びを深めたければ、学んだことを
人に伝えてみてはいかがでしょうか。
しかし、みなさんが、私のようにセミナーを開くわけにも
いかないでしょうし、むやみに社員などに伝えることは
避けたほうがよいでしょう。
そこでお勧めしたいのは、後継者や経営者の仲間内で
勉強会を開いて、お互いに講師になって、レクチャーし合うことです。
そして、お互いに質問をし合い、学びを深めていくのです。
これは本当に身につく学習になります。
テーマは、
「事業承継を成功させるためには?」
「リーダーシップには何が必要か?」
「自社をよい会社にするためには?」
「決算書の見方について」
など、いろいろと設定できます。
当道場の書籍を教材にして、
「事業承継で大事なことは何か」
という講義をしていただくことも出来ると思います。
「人に伝える」
これが、真に役に立つ知識を身につけたり、
自分自身の見識を高める秘訣のひとつであると思います。
私は、事業承継において後継者にとって望ましくないのは
「受け身の姿勢」であるという持論を展開していますが、
学習も同じではないでしょうか。
「受け身の学習」から「人に伝える学習」に切り替えていく
ことを検討してみてはいかがでしょうか。
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