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後継者に告ぐ 早く気付け!早く取り組め! ~事業継承の落とし穴~

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後継者が成功する    10のチェックポイント!

事業承継において、後継者が直面する課題はさまざまですが
共通の落とし穴が存在します。
後継者のみなさんが落とし穴に陥ることなく
事業承継を成功させるために、
10のチェックポイントを取り上げたいと思います。

どうしてもはずせない根本の部分ゆえ、これらを無視してやみくもに努力しても砂上の楼閣のごとく、うまくいかないのです。逆にこれらのポイントをおさえておけば、がぜん成功しやすくなります。
このチェックポイントの真意を、みなさん自身が理解し今日からの行動につなげてもらえれば幸いです。


※ここでは、経営者の息子という立場で親父の跡を継ぐ後継者を想定して話をすすめています。経営者が御袋である場合や、後継者が息子以外の場合は、内容を多少変換しながら読んでいただきたいと思います。



事業承継を成功させる10のチェックポイント】

1.経営者としての親父の偉大さを理解しているだろうか?
2.会社の本当の価値を実感できているだろうか?
3.事業承継はまだまだ先のことと思っていないだろうか?
4.親父が全部段取りしてくれると思っていないだろうか?
5.親父と腹を割って話ができるだろうか?
6.会社の財務が把握できているだろうか?
7.持ち株と同族問題の重要性を認識しているだろうか?
8.個人資産を形成する必要性を感じているだろうか?
9.三位一体の生活習慣病にかかっていないだろうか?

10.後継する覚悟が定まっているだろうか?



【チェック1】
経営者としての親父の偉大さを理解しているだろうか?

あなたの親父(お袋)さんは、激変する環境の中で
商材もお客様も、何もないところからスタートし、企業を起こしました。
あるいは先代からうまく受け継ぎ、長年存続させてきました。

雇用を生み出し、経営者としての重い責任を果たして、
あなたを含めて家族を養ってきました。
その苦労たるや、並々ならぬものがあったと思います。

私自身、一社員として働いていたときは、社長であった親父を単純に崇拝していました。

ところが、私が後継者としていざ社長代行になり、
様々な経営問題を目にしたとき
その原因をつくった親父を徹底的に否定してしまいました。
そして周囲にも親父批判をしました。
親父を否定することに、自分自身の存在意義を見いだそうとしていました。

今は、そのスタンスは全くの誤りであったと思います。
親父を否定すればするほど、自らをおとしめていることに
当時は全く気付いていませんでした。
親父を否定するところに、後継者の存在はありません。

親父を尊敬する。それを周囲に公言する。
事業承継はそこからスタートします。

決して、妄信するのではなく、
ありのままの親父を、ありのままに尊敬するのです。
後継者としての正当性も、そこから生まれます。

 【チェック2】
会社の本当の価値を実感できているだろうか?

私自身は、親父の会社に、自分の人生は縛られていると、
常々心のどこかで思っていました。

しかし、それはとんでもない思い違いでした。
倒産して初めて、自分がどれだけ会社に守られ、育てられていたのか、
会社の存在の大きさ、ありがたさを身にしみて感じました。

後継者から見て、会社の弱みは目につきやすいですが、
強みは意識にないことが多いのです。

けれども、会社が存続している以上、必ず強みがあるはずです。
それは商品や技術、あるいはサービスや信用かもしれません。
あるいは、弱みと思っていること自体が、角度を変えれば、
実は強みである場合も多いのです。

弱みばかりをあげつらって補強しても、企業は存続できません。
強みを認識し、より強化し、市場の機会に投入するのが経営の鉄則です。

実際、強みがあるのに、それをはっきり認識していないだけだとしたら、
非常にもったいない話です。
もし、強みが分からなければ、創業の経緯と会社の歴史を親父に聞きましょう。
創業の精神に立ち戻ることに、大きなヒントがあるかもしれません。

どんなに問題だらけの会社であっても、日々、社会に有用な製品やサービスを
生み出し、社員とその家族が生活しているという価値に焦点をあててください。

【チェック3】
事業承継はまだまだ先のことと思っていないだろうか?

親父からあなたに代表権が移る予定は、10年以上先かもしれません。
しかし急に親父が倒れ、決断を迫られるケースは意外に多いのです。

もし準備を怠っていれば、重要資料がどこにあるか分からず、
右往左往して、大きな判断ミスを起こしてしまう可能性は極めて高くなります。

親父がいつまでも元気で活躍してくれれば何よりですが、
いつでも自分が経営者として務められるように、
普段から準備をしておくことは、後継者の重要な役割です。

今日、究極の選択を迫られるかもしれません。
その危機感を持ち、事業承継の準備を始めましょう。
今からでも決して、早すぎることはありません。
事業承継は一時の手続きではなく、中長期の大きなプロジェクトなのです。


【チェック4】
親父が全部段取りしてくれると思っていないだろうか?

事業承継のキーパーソンは、一見、譲る側である親父に思えます。
最終権限を握っているのは、親父だからです。

しかし、本質的に事業承継というものを考えてみますと、
事業承継のキーパーソンは親父ではありません。
事業承継の真のキーパーソンは、受け取る側の後継者であるあなたなのです。

なぜなら、事業承継は、単に株式や経営権が後継者にうつっただけでは、
成功も不成功も確定せず、あくまでも、後継者が跡を継いで、
企業を存続、発展させたときに、はじめて
事業承継が成功したといえるからです。

その責任を担いうるのは、当然、譲る側の親父ではなく、
受け取る側の後継者なのです。

したがって、親父にすべての段取りを任せるというスタンスは
後継者としてふさわしいとはいえません。
親父に甘えることなく、自ら事業承継の勉強をし、戦略を練りましょう。

親父自身は経営のプロであっても、事業を譲った経験がなく、
意外と親父自身も、事業承継の落とし穴に陥っているかもしれません。

もし、あなたが自他共に認める後継者なら、
親父の意向を汲み取りながら、自ら事業承継の段取りをする姿勢をもちましょう。
何より、その姿勢が成功への原動力となります。

【チェック5】
親父と腹を割って話ができるだろうか?

後継者にとって、事業承継のキーマンは、何といっても親父です。
あなたは、親父と腹を割って話ができているでしょうか。

親父は頑固で、全然自分の話を聞いてくれないという後継者がいます。
しかし、親父は頑固で当たり前と思いましょう。
余談ですが、中小企業の創業社長は頑固な方が多いです。
だからこそ、裸一貫から創業し、これまで維持してこれたといえます。
素直な優しい性格だけで、なかなかできることではありません。
いわば、強い信念を持ち続けているのです。

もし、親父があなたの話を聞いてくれないなら、それは親父が悪いのではなく、
あなたに親父を説得する力がないと考えましょう。
あなたがしっかりしてくれば、親父も聞く耳をもつようになるでしょう。
そうなってくればしめたもので、仕事もがぜん面白くなってきます。

確かに、どうみても親父が理不尽である場合もあるかもしれません。
しかし、たとえそうであっても、親父を批判することに解決はありません。
批判すればするほど、親子の溝が深まるだけです。
いかに親父に伝えるかをじっくり考えましょう。

時機を見ることも必要です。
親父には中途半端な意見はしない方がよいでしょう。
本当に会社の存亡に関わる事項を、親父に進言する必要があるなら、
その時こそ、対親父戦略を練るべきです。

その一歩として、上司と部下としての業務上の接触以外に、
普段からコミュニケーションの場を持つとよいでしょう。
お勧めは、親父が、役所や金融機関や取引先などに出向くとき
同行させてもらうことです。
生きた勉強にもなるし、道中でいろいろと会話もできます。
「飯でも食って帰ろうか」ということにもなり、
コミュニケーションの良い機会となります。

事業承継について、親子で会話を切り出すタイミングは難しいです。
無理に話をするより、日ごろから勉強し、後継者としての意識と能力を
高めておくことが、親父と自然に腹を割った話ができる土壌を育むのです。

【チェック6】
会社の財務が把握できているだろうか?

あなたは財務諸表が読めるでしょうか。

財務諸表の読めない経営者は、
いわば、計器の読めないジャンボジェット機のパイロットと同じです。
目に見える景色と、感覚だけで飛んでおり、いつ墜落するか分かりません。

私自身は、後継者時代、簿記や会計の知識はありましたが、
経営者としての生きた知識とはなっていませんでした。
阪神大震災で父親の経営するホテルが半壊に近いダメージを受け、
休業に追い込まれたとき、財務面を考慮せず、
とりあえずホテルを再開させることを至上命題としてしまいました。

しかし、再開後、ようやく財務分析に取り組み始めて、愕然としました。
会社の財務状況をよく把握せず、
心意気だけでやみくもに頑張った私自身が、
計器を無視して飛び立ってしまった
無謀なパイロットであったわけです。

財務諸表は、日ごろ使わない専門用語が並んでいて分かりにくいかもしれません。
だからといって、財務諸表を避けていると痛い目にあいます。
財務諸表は、税務署や銀行のためだけのものではありません。
会社自身のためにつくるものであり、“みんなの幸福と不幸の源泉”なのです。

もちろん、財務諸表だけでは、現状を正確に反映していない部分があります。
例えば、取得原価で計上された資産は、実際の価値を表していません。
リースや債務保証などの隠れた負債も、財務諸表に反映されていません。
このような財務諸表の限界を理解するところまで
後継者は、財務諸表に精通しておかなければならないのです。

後継者は、一刻も早く、会社の財務を把握しましょう。
私のように、悔恨からその重要性に気付く必要はないのです。
会社の財務諸表を、自分の身に感じることが
できるようになればしめたものです。


【チェック7】
持ち株と同族問題の重要性を認識しているだろうか?

会社の株主構成を、あなたは意識しているでしょうか。

会社はだれのものかという議論はあるが、
明らかに商法は、会社が株主のものであることを前提としています。

株主こそ会社の最終決定権者であり、一定以上の株式を
保有することにより、会社の実質的支配権を握ることができます。

後継者は、まず、現状の株主構成を把握しましょう。
そして、将来、どのような株主構成が望ましいのか、今から考えておきましょう。
もし、ヘタな株主構成になってしまえば、あなたは、将来、
安定した経営ができなくなり、とんでもないトラブルを抱える破目になりかねません。

いざ、承継しようと思ったら、株価が高くて相続税が支払えない。
急に同族から株式の買取請求をされた。
名義株で裁判になった。
など、株に関するトラブルは枚挙にいとまがないのです。

株の問題は、普段は一切表に出ません。
いったん表に出たときは、最悪の事態に陥っており、
手を打とうにも打てないことがあります。

このような潜在的な問題が、自然に解決されることはなく
むしろ、時間が経てば経つほど、より解決困難になるケースがほとんどです。
場合によっては、親父と相談して早急に手を打たねばなりません。

“骨肉の争い”という言葉があります。
同族の問題については、いったんトラブルになれば泥沼状態になりかねません。
「仲がよいから大丈夫」ではなく、仲がよいからこそ、
事前に将来の争いの芽を摘み取らなければならないのです。

例えば、工場の敷地が親族との共有名義で、後に争いになったケースや、
兄弟間の確執により、事業が無茶苦茶になったケースなど、
ドラマとして見る分にはおもしろいですが、現実には味わいたくないものです。

 
【チェック8】個人資産を形成する必要性を感じているだろうか?

「あなたは、売上の2ヶ月分の現預金を個人として持っていますか?」

年商12億円の会社であれば、2億円の現預金。
年商3億円の会社であれば、5,000万円の現預金です。
あなたはどうでしょうか。

後継者であるあなたが、個人資産を形成することは必須です。
まず会社の株式を取得しなければなりませんし、
会社の信用のためにも個人資産は必要です。

そして、会社の危機に最後に頼りになるのは
オーナー経営者となるあなた自身なのです。
突発的な出来事などで、売り上げが一時的にゼロになったときでも、
あなた自身が「オーナー銀行」としての役割を果たせるだけの財力を持つべきなのです。

私は、後継者の皆さんに、自分個人の財務諸表をつくることをお勧めしています。
現在、どれだけの資産と負債があるのか。純資産はプラスかマイナスか。
よく現況を把握して、これからは徹底的に財務的に強い個人を目指しましょう。

また、よく分からずに連帯保証している後継者がいますが、
中途半端な連帯保証はするべきではありません。
基本的には、代表者になるまでは連帯保証を断る。
それぐらいガードの固い後継者こそ、会社を本当に守ることができるのです。


【チェック9】三位一体の生活習慣病にかかっていないだろうか?

経営者の心身の健康と、家庭、そして会社の業績の三つは、
一見、それぞれ別個のもので、まったく関連がないように思えます。

しかし、中小企業においては、意外にも、密接に連動しています。

へたをすると、それらが知らぬ間に、相乗的に悪化の方向に向かうのです。

経営者が、糖尿病や高血圧、あるいは脳卒中などの
一般的な「心身の生活習慣病」になる。

また、経営者が配偶者とうまくいかず、家庭が安らぐ場所ではなくなり、
家庭が家庭の機能を果たさなくなる。
いわば「家庭の生活習慣病」になる。

会社も、体質が悪くなり必要な機能が滞る。
いわば「会社の生活習慣病」の状態になる。

そして、それらが複合的に、すべてを蝕んでいく。
私は、この、「身体の生活習慣病」・「家庭の生活習慣病」・「会社の生活習慣病」
を中小企業の「三位一体の生活習慣病」と名づけ、
その認識の重要性を訴えています。

会社の業績だけではなく、自らの健康、家庭の健康を含めた
すべてが連関して良い方向に向かっているか、後継者は絶えず意識しましょう。


【チェック10】後継する覚悟が定まっているだろうか?

後継者であるあなたは、本当に自分が後継したいという
意思を持っているでしょうか?
ほかに後継者候補がいないので、
仕方なしに引き受けているのではないでしょうか?

いやいや引き受けてうまくいくほど、事業は甘いものではありません。
社員や取引先にも迷惑です。
何より、後継者であるあなた自身が不幸です。
親子の承継以外にも承継手段はあります。
もし、本当にやりたい仕事が他にあり、その道に進みたければ進めばよいのです。

継ぐなら継ぐと覚悟を決めましょう。
継がないなら、きっぱりと別の道に進みましょう。
中途半端が一番良くありません。

とはいえ、自分が経営者として適格かどうか、不安な場合もあるかもしれません。
それは客観的には判断が難しいかもしれません。
その場合は、まず、やりたいのかやりたくないのか、
自分の内心によく聴いてみましょう。

もし今、あなたが迷っているなら、とことん悩めばよいのです。
会社の現状をしっかり認識し、その上で、自分自身の方向性を
徹底的に考えることです。
例えば2年の間に結論を出すという、期限を切ってもよいのです。
その間に徹底的に頭を整理して、腹を決めることです。

もし、本当にやりたいのであれば、経営にはオリンピックで
金メダルをとるほどの天才的な能力は必要ないのだから、
意欲が能力を引き出すと信じましょう。

経営者という仕事は、大変だけど、やりがいがあり、本当におもしろいものです。
事業承継は誰にでもそのチャンスがあるわけではありません。
親父の跡を継ぐということを、大きなチャンスとして捉えて、
早いうちに、後継者としての覚悟を決めましょう。




 


 

 
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